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【小沢洋子(網膜硝子体)】iPS細胞や再生医療は難治性網膜疾患の新たな希望。日本での診察から、望みに合った一歩を一緒に踏み出したい

3 時間前
読了時間: 8分
【小沢洋子(網膜硝子体)】iPS細胞や再生医療は難治性網膜疾患の新たな希望。日本での診察から、望みに合った一歩を一緒に踏み出したい

<プロフィール>

1992年慶應義塾大学医学部卒業。同大学にて医学博士を取得後、米国ハーバード大学への留学を経て、慶應義塾大学医学部眼科専任講師や聖路加国際病院眼科部長などを歴任。網膜疾患と抗加齢医学(アンチエイジング)を融合させた最先端の臨床・研究を長年牽引している。2023年より藤田医科大学医学部臨床再生医学の教授に就任し、現在は同大学羽田クリニックにて高度な眼科医療を提供する。


専門:網膜硝子体


【経歴】三代続く眼科家系。地域の病院にも勤務すると、アドバイスが的確になる

【経歴】三代続く眼科家系。地域の病院にも勤務すると、アドバイスが的確になる

ご経歴を教えてください。

埼玉県さいたま市の出身です。母方の祖父が眼科医として開業し、母が継いだクリニックがまだ地元にあり、私も時々手伝いに行っています。父も、基礎研究を行う医師でした。ですから家にいるときに、基礎研究の話を父が母にしているのを子どもの頃に聞いていましたね。「人間はどのようにしてできているのだろう」と子どもながらに考えていたものです。


クリニックが家のそばだったので、母に帰ってきてほしいときには覗きに行っていました。ただ、「だめだめ」と追い返されてばかりで。「患者さんと1対1で向き合っているのだから邪魔してはいけない」とよくいわれました。


医師が責任を持って仕事をしている感覚を、その頃から感じてきた部分があります。時代も機械も違うので、まったく同じではないにせよ、目の前の患者さんに真摯に向き合う姿勢は、私も変わらず持っていると思います。


ローカルとグローバルの両方の医療で活躍されていますが、二つに携わる利点はあるのでしょうか。

大学病院では、紹介で来られた方にしか会えません。地域の病院にいると、患者さんが最初に病気になったときにどのようなことを考えるのかがわかります。勉強にも、新しい課題の発見にもなるわけです。


大学病院での治療後に患者さんがどのような人生を送っているのかも、地域の病院に週に何回か行くと見られます。大学病院から送り出す際に、その後を想定できていると、アドバイスが的確にできるのではないかと考えています。


【専門】すべてを完結できるのが眼の魅力。代えが利かない網膜分野に「挑みたい」と思った

【専門】すべてを完結できるのが眼の魅力。代えが利かない網膜分野に「挑みたい」と思った

なぜ眼科、そして網膜硝子体を選んだのでしょうか。

眼科を選んだ理由は、母が眼科医だったことが大きいと思います。ただ、学生時代には反抗して「眼科には絶対に行かない」といっていた時期もありました。それでも選んだのは、目のことはすべて眼科医が担えるからです。


目は小さい臓器でありながら、角膜・白内障・網膜など専門分野に分かれています。なのに、例外ももちろんありますが、「目のことは眼科医がやる」のが基本です。薬物治療も手術も、すべて眼科で完結できる点が魅力でした。


網膜を専門にしたのは「かっこいい」と思ったからです。網膜は最後の砦で、代えが利きません。だからこそ「挑みたい」「自分が頑張るしかない」と思ったのです。


慶應義塾大学で学んだ後、栃木県の佐野厚生総合病院でいろいろな手術を学び、慶應義塾大学にもう一度戻ってきました。その時に網膜の治療について、主に手術を中心に勉強したんです。その技術を持って、慶應義塾大学関連病院である東京都済生会中央病院に赴任しました。


東京都済生会中央病院は、患者さんをどんどん治療していくことを求められる病院で、糖尿病の患者さんが特に多く来るところです。結膜炎や白内障の患者さんでも糖尿病がある人ばかりな状況でした。糖尿病による難しい網膜症の手術も勉強していた時期だったので、多くの経験が積めました。


【思い出】形をきれいに整えるだけでは、すべての「見えない」はケアできない

【思い出】形をきれいに整えるだけでは、すべての「見えない」はケアできない

先生のキャリアを語る上で欠かせない、「運命的な患者さん」を教えてください。

手術の経験を積んでいた中で出会った、ある患者さんの話です。手術も無事に済んで「よかったですね」と伝えていました。患者さんも最初は「よかった」といっていたのです。しかし、何度も会ううちに本音が聞けて、見え方に満足できていないとわかりました。


目の形が整っていたのは間違いありませんでした。だから、形を整えるだけでは足りないのか、手術で解決しない問題もあるのかと実感したのです。


それで「基礎研究をしよう」と思い立ちます。実験をしていく中で、「手術できれいにすることも大切だが、薬で細胞を元気づけることも考える必要がある」と学んでいきました。その患者さんが本音を語ってくださったおかげで、今の私があると感謝しています。


【眼科業界】iPS細胞関連の研究者は、別世界にいる

【眼科業界】iPS細胞関連の研究者は、別世界にいる

日本眼科の現状や課題についての考えや想いも伺いたいです。

日本の眼科業界は、国際交流を大切にする風潮が強くなっています。日本眼科学会にある「国際学会委員会」の活動も、10年以上前から続いてきました。海外の情報を得ようとしたり、学会で英語のセッションを組んだり。一歩一歩進んで、積み重ねができ、いい方向に向かっていると思います。治療技術の面も、世界とすでにタッグを組めているので問題もないでしょう。


権威があり、限られた人しか参加できない世界的な学会にも私は足を運んできました。そのような場に行くと、世界のオピニオンリーダーとも顔を合わせます。どのような考えを持っているのか、誰の影響を受けているのか。世界の眼科の方向性や道筋が見られる点は、いい機会だなと思ってきました。


しかし、先進的なリーダーや国と同じことをするだけでは足りないと思っています。別の軸でも、頑張る必要がある。その一つが、iPS細胞だと思っています。iPS細胞関連の研究者たちは「別世界」にいるような感覚です。彼らと話していると、もっと眼科臨床家と交流してほしいと思います。私はその架け橋となり、iPS細胞関連医療を実用化させたいと思います。


【再生医療・iPS細胞】不可能だったことにも、希望が見え始めている

【再生医療・iPS細胞】不可能だったことにも、希望が見え始めている

iPS細胞などの再生医療の現状もぜひ教えてください。

iPS細胞の発見は革新的でした。不可能だと思われていたことの「可能性」や「希望」が見えてくる時代になってきています。動物実験が中心だった長い期間を経て、ヒトに治療を施せるようになってからも10年以上経ちました。最近では、スピードアップすら感じられるほどです。ステップを踏む必要はあるものの、実用化まで近いところに来たと感じています。


もちろん、まだ完璧ではありません。最善の治療を私たち眼科医も目指している点を患者さんに理解してもらった上で、治療に踏み切れるという状況です。運命共同体的な部分がまだあるといってもいいでしょう。それでも手術の適応や実施時期について相談や検討ができる段階に近づいているといえます。


なので、患者さんには気兼ねなく相談してもらいたいと思っています。「このような方がいて、このようなことで困っている」「このような方にもこの治療を使えるだろうか」と、応用するための作戦を考えるきっかけになるからです。すぐに解決できるかはわかりませんが、相談によって私たちも勉強になり、患者さんの望みに合うような一歩を踏み出せると思っています。


【所属先紹介】通訳への説明にもこだわる。『一度診察を受ける』のが患者自身のためになる

【所属先紹介】通訳への説明にもこだわる。『一度診察を受ける』のが患者自身のためになる

藤田医科大学羽田クリニックのよさも伺いたいです。

保険診療でできるのは、国がスタンダードとして認めたことのみです。患者さんの病気のメカニズムを考えて『このほうがいい』と思う選択肢があっても、実施ができない場合もあります。当クリニックは自由度が高く、自由診療ならば、その患者さんに合ったことを第一に考えて治療ができる点がよさだといえます。


通常の治療を十分に行っても、悪くなってしまう患者さんはいるものです。「この方は神経の病気だが、血流も改善したほうがいい」といった具合に、補助的な治療も併せて自由診療ならできるわけです。


外国語対応については、どのように評価されていますか。

基本的には問題ありません。中国語と英語は得意なスタッフがいます。


私自身は、中国語は話せないため、通訳さんが患者さんに正しく伝えられているか心配になるときもあります。医学的な内容を理解せずに通訳さんが噛み砕くと、患者さんに間違って伝わってしまうことがあるからです。だから、医学の専門家ではない通訳さんにもわかるように私が話すことで、患者さんにもうまく伝わるだろうと、一生懸命考えて説明しています。


あとは、空港から近いのも当院の利点です。時間ぎりぎりに来て、ぎりぎりに帰られる方も多いです。観光と組み合わせて来られる方もいて、便利だと思います。医師だけでなく、事務のスタッフや看護師も、ホスピタリティにあふれる人ばかりです。


海外の患者さんに特に伝えておきたいことはありますか。

「自分の病態でも対応可能か」「どのような治療選択肢があるか」と質問のメールがよく来ます。しかし、メールでの確認だけでは限界があります。状態がわからないと、何がどこまでできるのかもわからない場合がほとんどだからです。


費用がかかるので、無駄を省きたい・渡航も1回で済ませたいという気持ちはもちろんわかるのですが、一度診察を受けてほしいです。一度診察を受けてもらえれば、目や病気の状態についての情報が得られて何ができるか私たちも考えられます。現状の設備ではできないことであっても、「このような患者さんがいるなら必要ですね」と準備をする場合もあります。いきなりの渡航が難しい場合は、Webでの診察という方法もあります。だから、メールでのやりとりだけでなく、一度診察を受けてもらえるとありがたいです。


学校法人藤田学園 藤田医科大学 羽田クリニック

東京都大田区羽田空港1丁目1番4号 HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ) Zone A(地下1階〜3階)

※羽田空港国際線ターミナル:3分(約1.7km)

※京浜急行空港線・東京モノレール「天空橋駅」直結

診療時間:月曜日〜金曜日 8:45〜17:00(土日祝休診、完全予約制の診療・健康診断あり)

 
 
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