レーシック vs ICL |手術の仕組みから適応やメリットまで比較解説
- sakai208
- 8月12日
- 読了時間: 7分

はじめに:レーシック vs ICL手術
メガネやコンタクトレンズに頼らずに、クリアで裸眼の視力を手に入れたいと願う人は多くいます。この自由を実現するための視力矯正手術を検討する際、代表的な選択肢として挙げられるのが「レーシック」と「ICL(眼内コンタクトレンズ)」です。どちらも、近視、遠視、乱視といった屈折異常を矯正することを目的としていますが、そのアプローチは根本的に異なります。
レーシック vs ICLのどちらを選ぶべきか、溢れる情報の中で圧倒されてしまうかもしれません。この記事は、この二つの代表的な視力矯正手術を包括的に比較し、その仕組み、主な違い、メリット、デメリットを解説するために作成されました。この記事を通じて得られる知識が、眼科医との有益な話し合いを助け、あなたの目とライフスタイルに最も適した手術を決定する一助となることを目指しています。
基本を理解する:レーシックとICLの仕組み
レーシックとICLは、どちらも網膜に光を正しく集めることでクリアな視力を実現しますが、その手法は明確に異なります。
レーシックとは?
レーシックは、角膜(目の透明な最前面)の形をレーザーで整えることで視力を矯正する、確立されたレーザー屈折矯正手術です。
仕組み:
マイクロケラトームと呼ばれる極薄のブレード、またはフェムト秒レーザーを用いて、角膜に薄い蝶番状のフラップ(ふた)を作成します。
このフラップをそっとめくり、下の角膜組織を露出させます。
エキシマレーザーが、露出した角膜を精密に削り、屈折異常を矯正します。
最後に、角膜フラップを元の位置に戻すと、縫合することなく自然に接着します。
主な特徴: 角膜の形を永久的に変える組織除去型の手術です。
ICL手術(眼内コンタクトレンズ)とは?
ICL手術は、角膜組織を一切除去することなく、薄く柔軟な生体適合性レンズを眼内に移植する手術です。
仕組み:
角膜の縁にごく小さな切開を行います。
コラマーと呼ばれるコラーゲンをベースとした素材で作られた、オーダーメイドのICLをこの切開部から慎重に挿入します。
レンズは眼内で広がり、虹彩(目の色のついた部分)の後ろ、かつ元々ある水晶体の手前に配置されます。
主な特徴: レンズを眼内に「追加する」手術であり、必要に応じてレンズを取り除くことが可能な可逆性があります。
レーシック vs. ICL:比較分析
以下に、レーシックとICL手術をさまざまな重要な要素で詳細に比較します。
特徴 | レーシック | ICL手術 |
仕組み | 角膜を削ることで形を整える | 眼内にレンズを追加する |
角膜組織 | 角膜の形を永久的に変える | 角膜組織を温存する(削らない) |
可逆性 | 可逆性はない(組織を削るため) | 可逆性がある(レンズの取り外し・交換が可能) |
適応範囲 | 通常、軽度から中程度の近視/乱視、一部の遠視。角膜の厚さが制限因子となる。 | より広範囲、特に中度から強度近視や高度乱視に適応。 |
ドライアイのリスク | 角膜神経を切断するため、ドライアイを誘発または悪化させる可能性がある。多くは一時的。 | 角膜神経にほとんど干渉しないため、ドライアイを誘発または悪化させるリスクが低い。 |
夜間視力 | 特に術後初期に、ハローやグレア(光の輪やにじみ)が発生する可能性がある。瞳孔の大きさが要因になることがある。 | レーシックに比べ、ハローやグレアが少なく、夜間視力が良好であると報告されることが多い。 |
回復期間 | 視力の回復が非常に速い(多くは数時間から数日)。 | 良好な視力回復が得られるが、最初の視力安定までには数日から1週間程度かかる場合がある。 |
目の構造 | 十分な角膜の厚さが必要。薄い角膜や特定の角膜疾患には不適。 | 薄い角膜やドライアイの患者でも選択肢になり得る。十分な前房深度が必要。 |
UV保護 | UV保護機能はない。 | 最新のICL(例:EVO Visian ICL)は、目の内部構造をUVから保護する機能を持つ。 |
将来の手術 | 将来の白内障手術の計算にわずかに影響を与える可能性があるが、通常は対応可能。 | 将来の白内障手術の妨げにはならず、ICLは白内障手術中に摘出される。 |
メリットとデメリット:より詳しく
レーシック
メリット:
回復の速さ: 視力が非常に速く安定し、数時間で回復することもある。
実績の豊富さ: 長い歴史の中で安全性と有効性が確立されており、広く行われている。
眼内異物がない: 眼内に永久的に異物を入れることはない(ただし、フラップを作成する)。
費用対効果: ICL手術よりも安価であることが多い。
デメリット:
不可逆性: 角膜組織が永久的に除去される。
角膜の制限: 強い度数、薄い角膜、不正乱視などには適応しない。
ドライアイ: 術後にドライアイの症状が出る可能性が高いが、多くは一時的。
フラップの合併症: 稀ではあるが、角膜フラップに関連する問題(ずれ、不規則な治癒など)が起こる可能性がある。
ICL手術
メリット:
広い適応範囲: レーシックが不適応な場合(例:薄い角膜)でも、中度から強度近視や乱視に効果的。
可逆性: 必要に応じてICLを取り出したり交換したりできる。
角膜温存: 角膜組織を削ったり形を変えたりしないため、目の自然な構造が維持される。
ドライアイのリスクが低い: 角膜神経への干渉が少ないため、重度または慢性のドライアイ発生率が低い。
UV保護: 最新のICLは、目の内部構造を保護するUVカット機能が内蔵されている。
デメリット:
眼内手術: 目の中に入る手術であり、内部の合併症(感染症、眼圧上昇、白内障形成など)のリスクがごくわずかにある(ただし、最新のICLでは稀)。
費用: 一般的にレーシックよりも高価である。
回復期間: 視力回復は良好だが、最初の視力安定まではレーシックよりもわずかに時間がかかる場合がある。
高い専門性が必要: 執刀には非常に高い技術と経験を持つ医師が求められる。
どちらを選ぶべきか:考慮すべき要素
どちらが「最良」」の手術かは、個人の状況に大きく依存します。
度数: 強い度数にはICLが、軽度から中程度の度数にはレーシックが優れていることが多い。
角膜の厚さ: 角膜が薄い場合、ICLの方が安全な選択肢かもしれない。
ドライアイ: 術前からドライアイがある、またはその傾向がある場合、ICLが良い選択肢かもしれない。
目の健康状態: 特定の目の疾患がある場合、片方の手術がより適していることがある。
可逆性への好み: 可逆性のある手術を希望する場合、ICLが際立った選択肢となる。
費用: 予算も現実的な考慮事項である。
執刀医の経験: どちらの手術でも、執刀医の専門性と経験が最も重要である。
なぜ医師の専門的なガイダンスを求めるべきか?
当サービスは、信頼できる医療機関の情報を提供します。私たちは、患者様一人ひとりの目の健康状態や希望に合わせた適切な選択ができるよう、医師の専門的な視点から情報提供を行っています。
専門家による評価: 専門医である私たちが、手術実績や技術力、安全性などを客観的に評価したクリニック情報を提供します。
個別化されたケア: 患者様の目の状態やライフスタイルに合わせた治療計画を立てるための、個別相談の機会を提供します。
最終的な決定
最終的に、レーシックとICLのどちらにするかの決定は、熟練した眼科医による徹底的な目の検査と相談の上で行われるべきです。専門医は、あなたの目の健康状態、屈折異常、角膜の特性、そしてライフスタイルのニーズを評価し、あなたにとって最も適した安全な視力矯正ソリューションを推奨してくれるでしょう。
レーシックまたはICL手術を検討中で、専門的な相談や信頼できるクリニックへのアクセスを求めている方は、ぜひOphthoagentまでお問い合わせください。医師が主導する当サービスが、国内の信頼できる医療機関の情報を提供することで、あなたが選択肢を検討し、最高の視力を手に入れるお手伝いをします。
この記事は、医師であるDaiki Sakai, MDが監修しました。