日本で眼科手術を受けるための医療渡航ガイド:必要書類と渡航前チェックリスト
日本でICL手術、白内障手術、硝子体手術、再生医療などの眼科治療を受ける場合、渡航前の十分な準備が重要です。
医療渡航では、航空券や宿泊先を手配するだけでなく、診療情報、パスポート、必要に応じたビザ関連書類、支払いに関する記録など、さまざまな書類を事前に準備する必要があります。正確な情報をあらかじめ揃えておくことで、医療機関が患者さんの状態を円滑に確認でき、不要な手続きや遅延を減らすことにつながります。
提出する情報に不足や不一致がある場合、追加の確認が必要となり、診察や治療のスケジュールに影響する可能性があります。必要な書類を事前に準備しておくことで、医療チームが患者さんの状態をより適切に評価し、予定に沿って診療を進めやすくなります。
本記事では、日本で眼科治療を受けるために医療渡航を行う際、一般的に必要となる書類や医療情報、渡航前に準備しておくべきポイントについて解説します。
1. 渡航前の準備が医療渡航の基盤となる
日本へ出発する前に、必要な書類や手続きを一通り確認しておくことは、現地でスムーズに医療を受けるための重要な準備です。
日本の医療機関では、患者さんの安全を重視した一定の診療手順に沿って診察や治療が行われます。そのため、診療を開始する前に、現在の症状やこれまでの病歴、服用中の薬、アレルギー、過去の検査結果などについて、正確な情報が必要となります。
提出された情報に不足や不一致がある場合、医療機関から追加の書類を求められることがあります。状況によっては、その確認に時間がかかり、診察や手術のスケジュールに影響する可能性もあります。
手術を予定している場合は、渡航そのものだけでなく、初診、術前検査、手術、術後診察、必要な回復期間まで含めて滞在日程を考える必要があります。
必要な情報を渡航前に医療機関や医療渡航のサポート事業者と共有しておくことで、日本到着後の事務手続きを減らし、診療を予定どおり進めやすくなります。
渡航前に確認しておきたい項目
受診する医療機関へ提出する診療情報
パスポートおよび必要に応じたビザ関連書類
診察・検査・手術のスケジュール
医療費の支払い状況
医療通訳の手配とインターネット環境
術後の宿泊先と移動手段

2. 正確な診療評価に必要な医療情報
英語または日本語で、正確かつ十分な医療情報を提出することで、渡航前の段階から医師が患者さんの状態を適切に確認しやすくなります。
日本で眼科手術を行う際、治療方針は患者さんの自覚症状だけでなく、客観的な医学的情報に基づいて検討されます。そのため、患者さん自身による症状の説明に加えて、現在受診している医療機関が作成した診療情報などが必要となることがあります。
病状に応じて、主に以下のような資料の提出を求められる場合があります。
主治医が作成した診療情報提供書や紹介状
現在服用している薬の一覧
過去の手術歴やアレルギーを含む既往歴
眼底写真、OCT(光干渉断層計)、角膜形状解析などの眼科検査データや画像
眼科疾患では、画像データが診療上特に重要です。可能であれば検査結果の報告書だけでなく、元の画像データも提出することで、日本の眼科医が眼球の構造的な所見を直接確認できます。
ただし、渡航前の資料確認は、日本で実際に行う診察の代わりになるものではありません。
提出された情報から治療の可能性を事前に検討することはできますが、最終的な診断や治療方針は、日本での対面診察と必要な追加検査を行ったうえで決定されます。
医療書類を翻訳する場合は、原本と翻訳文の内容が明確に対応するようにしてください。薬剤については、可能な限り一般名、用量、服用方法を記載しておくと確認がスムーズです。
医療情報を準備する際のポイント
可能な限り最新の検査結果を準備する
検査報告書だけでなく元の画像データも提出する
薬剤は一般名、用量、服用方法を記載する
最終的な治療方針は日本での診察・検査後に決定されることを理解しておく

3. 支払い記録とクレジットカードの準備
治療費を事前に支払った場合は、支払いが正常に完了したことを確認できる書類を保管しておきましょう。
医療機関や治療内容によっては、診察や治療の前にデポジット(預り金)の支払いを求められる場合があります。金額や支払い方法は、医療機関や治療計画によって異なります。
支払いは、医療機関または医療渡航サポート事業者の案内に従い、海外送金やクレジットカードなどで行います。
海外送金を利用した場合は、送金者、受取人、送金日、取引番号、支払内容などが記載されたSWIFT Adviceなどの送金記録を保管してください。紙で持参するだけでなく、必要なときに確認できるよう、スマートフォンやクラウドストレージなどに電子データを保存しておくと便利です。
日本でクレジットカードを利用する予定がある場合は、渡航前にカード会社へ確認しておくことをおすすめします。海外での決済が不正利用と判断され、一時的にカードが利用できなくなる場合があります。海外利用の設定、利用可能額、本人認証の方法などを事前に確認してください。
また、可能であれば複数の支払い方法を準備しておくとよいでしょう。ただし、利用できる決済方法は医療機関によって異なるため、渡航前に確認が必要です。
支払いに関するチェック項目
SWIFT Adviceなど、支払いを証明できる書類を保管する
支払者と患者さんの氏名が異なる場合は事前に医療機関へ伝える
日本でカードを利用することをカード会社へ事前に確認する
利用可能額や本人認証の設定を確認する
可能であれば複数の支払い方法を準備する
追加の医療費が発生した場合の支払い方法を確認する

4. 眼科手術後の日本滞在に向けた準備
渡航前から術後の生活について準備しておくことで、日本滞在中も術後の指示に沿って過ごしやすくなります。
必要な術後管理は、受ける眼科手術によって異なります。
手術後は、目をこすらない、処方された点眼薬を正しく使用する、激しい運動や入浴を一定期間控えるなどの指示を受けることがあります。
そのため、宿泊先を確保するだけでなく、術後の日常生活まで考えて準備しておくことが重要です。
着替えやすい衣類、普段服用している薬、衛生用品、スマートフォンや充電器など、日常的に使用するものを準備してください。食物アレルギーや食事制限がある場合は、可能であれば事前に医療機関や宿泊施設へ伝えておきましょう。
また、日本では病院、ホテル、レストランをはじめ、多くのサービスでチップを渡す習慣は一般的ではありません。料金について確認したいことがある場合は、追加でチップを渡すのではなく、請求書や領収書の内容を確認してください。
都市部ではクレジットカードや電子決済を利用できる場所が多い一方、一部の店舗や交通機関では現金が必要になることがあります。そのため、必要な範囲で日本円の現金も用意しておくとよいでしょう。
医療渡航サポート事業者が滞在中の一部を支援する場合もありますが、空港送迎、観光、買い物への同行、一般的な旅行手配などが必ずしもサービスに含まれているわけではありません。事前にサポート範囲を確認してください。
日本滞在中に準備しておきたいもの
普段服用している薬と処方内容が分かる資料
着替えやすく過ごしやすい衣類
スマートフォン、充電器、モバイルバッテリー
点眼薬を収納するケースやポーチ
食物アレルギーや食事制限に関する情報
必要な範囲の日本円
宿泊先から医療機関までの移動方法
5. 医療通訳とコミュニケーション手段の準備
専門的な医療通訳と適切な通信手段を準備しておくことは、日本で治療を受ける際の正確なコミュニケーションに役立ちます。
診断内容、手術方法、考えられるリスク、代替治療、術後管理などの説明では、専門的な医学用語が多く使われます。そのため、日常会話ができるだけでは、重要な説明を十分に理解することが難しい場合があります。
医療通訳者は、医師と患者さんの間で正確な意思疎通を支援します。特に、インフォームド・コンセントの説明や治療方針を決定する場面では重要な役割を果たします。
一方、翻訳アプリはホテル、レストラン、薬局、交通機関など、日常生活でのコミュニケーションに便利です。渡航前に必要なアプリをインストールし、利用できる場合はオフライン言語データもダウンロードしておくとよいでしょう。
通信環境については、eSIM、日本国内で利用できるSIMカード、モバイルWi-Fiなどを準備しておきます。インターネット環境を確保しておくことで、滞在中も医療機関や医療渡航サポート担当者と連絡を取りやすくなります。
ただし、医学的に重要な情報を理解する際に、翻訳アプリだけに頼ることは避けてください。治療内容、薬剤、緊急時の対応などについては、必ず医師または適切な医療通訳者を通して確認することが重要です。
コミュニケーションに関するチェック項目
診察やインフォームド・コンセントに必要な医療通訳を手配する
翻訳アプリは主に日常生活でのコミュニケーションに利用する
医療機関や宿泊先を地図アプリに登録する
eSIM、SIMカード、モバイルWi-Fiなどを準備する
医療機関やサポート事業者の緊急連絡先を保存する
治療開始前に緊急時の連絡方法を確認する

6. 出発前の最終チェックリスト
出発のおよそ72時間前には、必要書類、支払い記録、診察予定などをもう一度確認しましょう。
医療渡航では複数の手続きを調整する必要があり、書類が一つ不足しているだけでも、診察や治療のスケジュールに影響する可能性があります。
パスポート、医療情報、支払い確認書類などは、渡航中に異なる機関から提示を求められる可能性があります。必要なときにすぐ提示できるよう、紙と電子データの両方を整理して保管しておくと便利です。
家族や介助者が同行する場合は、医療機関や医療渡航サポート事業者の連絡先を共有しておきましょう。移動スケジュールの変更や予期しない事態が生じた場合にも、連絡を取りやすくなります。
最終チェックリスト
有効なパスポート
必要なビザ
診療情報提供書または紹介状
OCT、眼底写真、必要に応じてMRI・CTなどの画像データ
現在服用している薬の一覧
デポジットの支払い確認書
SWIFT Adviceまたはクレジットカードの支払い記録
診察・検査・手術・術後診察のスケジュール
医療通訳の手配
宿泊先と移動手段
eSIM、SIMカード、モバイルWi-Fi
医療機関および医療渡航サポート事業者の連絡先
また、それぞれの書類について、原本、コピー、電子データのどの形式で提示する必要があるかも、渡航前に確認してください。
事前に十分な準備をしておくことで、日本到着後の事務手続きを減らし、予定された診療を進めやすくなります。
よくある質問
デポジットの残額はどのように返金されますか?
事前に支払ったデポジットより最終的な医療費が少なかった場合、精算後に差額が返金されます。
マネーロンダリング防止(AML)上の要件と取引の追跡可能性を確保するため、患者さんの希望によって返金先を別の銀行口座や決済方法へ変更することはできません。
返金は、送金時に使用した元の銀行口座、または支払いに使用した同一のクレジットカードに対して行われます。
なお、海外送金では処理に時間がかかる場合があり、銀行手数料や為替レートなどによって実際の受取額が変動する可能性があります。
医療記録はすべて日本語に翻訳する必要がありますか?
必ずしもすべてを日本語へ翻訳する必要があるわけではありません。
受診する医療機関が英語の医療書類を受け付けている場合、日本語訳が不要なことがあります。
ただし、必要な書類や対応言語は医療機関によって異なります。提出前に、英語、日本語、またはその両方のどの形式が必要か確認してください。
日本へ渡航する前に治療や手術の実施を確定できますか?
いいえ。渡航前の段階で、最終的な治療内容や手術の実施を確定することはできません。
渡航前に提出した医療情報をもとに、医師が患者さんの状態を確認し、追加の検査や治療を検討することは可能です。
ただし、最終的な診断、治療方針、手術を実施するかどうかの判断は、日本で対面診察と必要な検査を行った後に決定されます。
監修者
酒井大輝(医師, 医学博士)
日本眼科学会認定眼科専門医
創設者, Ophthoagent Team
酒井大輝医師は、日本眼科学会認定眼科専門医として、白内障手術、網膜疾患、再生医療などの眼科診療に携わっています。Ophthoagentを通じて、日本で眼科治療を希望する海外患者に対し、専門的な医療情報の提供やコミュニケーション支援、治療に関する案内を行っています。