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【福岡秀記(角膜)】角膜の伝統校から、独自の治療法で世界にインパクトを

18 時間前
読了時間: 8分
【福岡秀記(角膜)】角膜の伝統校から、独自の治療法で世界にインパクトを

<プロフィール>

福岡秀記

京都府立医科大学 眼科 学内講師

京都府立医科大学医学部を卒業。2011年、京都府立医科大学大学院 医学研究科 博士課程を修了。2011年より、国立長寿医療研究センター 眼科医長に就任。その後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校のShiley Eye Instituteにて研究に従事。2017年より京都府立医科大学眼科 助教となり、2024年10月より同大学 眼科 学内講師に就任。


専門領域:角膜


【経歴】自分の病気を治すために医師を志し、「見えない」を救えるインパクトを感じて眼科へ

【経歴】自分の病気を治すために医師を志し、「見えない」を救えるインパクトを感じて眼科へ

先生の経歴から伺いたいです。

大学で京都府に来るまでは、東京都世田谷区にいました。父は会社員、母は専業主婦で、医療とは関係のない家庭です。ただ、私のほかに、弟も医師になり、消化器外科として今はアメリカに行っています。姉もいて、OLをしています。


医師になったきっかけは何だったのでしょうか。

私はもともと、アレルギー性鼻炎がひどかったんです。高校生の頃が一番ひどかったですね。ティッシュを学校に毎日1箱持って行き、使い切っていたぐらいです。『もうしんどい。これは治さないとダメだ』と思って医学部に入ったわけです。

ただ、大学に入ったら、年齢とともに体質が変わったか、もしくは免疫反応が少し弱くなったのか、自然に症状がよくなっていました。自分の病気を治したくて医学部に入ったんですけどね。だから「もう耳鼻科はいいや」となりました。


眼科を選ばれたのはなぜだったのでしょうか。

手術で治せるところが魅力的でした。あと、眼科医療はインパクトが大きいんですよね。脳の7割から8割は視覚に関係する組織だといわれ、見えることが当たり前だと皆さん思っています。だから、見えなくなったときに、非常に困るわけです。手術によって治せる領域で、見えない方を救えるインパクトを感じたので眼科を選びました。


【専門】角膜は、目を総合的に理解して初めて治療ができる

【専門】角膜は、目を総合的に理解して初めて治療ができる

角膜を専門にされたのには理由があるのでしょうか。

京都府立医科大学の眼科は、伝統的に角膜が専門なのです。ここにいれば、角膜を選ぶのが王道といえます。特に臨床に直結した研究、いわゆる「クリニシャン・サイエンティスト」を目指す臨床研究施設です。なので、角膜を専門にするのも自然な流れでした。


角膜領域における課題も伺ってみたいです。

角膜を診療できる医師が少ない点が指摘できます。ですから、診察できる医師を育てることは課題です。当校の門を叩いてもらえれば何とかできる自負があるのですが、歯がゆいところですね。


角膜を診られる医師はなぜ少ないのでしょうか。

自然の摂理のようなものが理解できていないと診療ができないからだと思います。角膜…つまり黒目の部分は、まぶた・涙・白目のこともわかっていないと治せません。まぶたが何のためにあるかといえば、黒目をメンテナンスするため。涙も、黒目を透明で健全な状態に保つため。このように総合的に目について理解できていないと治せない分野だからだと思います。


角膜を診れる医師が少ない中で、福岡先生に助言を求める方は日本中にいるのではないでしょうか。

現在は関連病院からがメインですが、相談を受けることもあります。だから、相談のシステムや制度の整備が進むといいなと思っています。いわゆる「遠隔診療システム」ですね。

加えて、診療報酬の点数が付けられない点も課題かもしれません。責任の所在がよくわからないので、知らない先生とやって「診断が違った」といわれてしまうと対応が難しくなります。もちろん、知っている医師同士であれば遠隔診療システムは有意義だと思います。なので、信頼できる医師同士の連携強化の面でビジョンフォース社に期待しているところです。


【環境】観光資源が豊かな街、機器に強い国の産業構造

【環境】観光資源が豊かな街、機器に強い国の産業構造

京都府立医科大学の病院としての強みを教えてください。

そもそも京都府には、海外の観光客も多く、旅行を兼ねて診察や治療に来てもらえる環境が整っていると思います。宿泊施設も多いですし。

加えて京都府立医科大学の病院は歴史が古く、150周年を超えています。医学部の中でも長い歴史を持っているほうです。また、患者さんを第一に考えることを大切にしています。「まず患者さんのことを知ろう」を教育の方針および軸にしているのも特徴です。

そして眼科に測定機器が多く揃っている点も特長だと思います。眼の断層を撮影するOCTや、眼圧を測るスペキュラマイクロスコープなど、精密機械を多く使用する眼科分野において、日本の産業構造は強いのです。だから、さまざまな機械が駆使できる・手に入りやすい環境からして、海外から考えると魅力的だと思います。


【独自治療】培養ヒト角膜内皮細胞移植と培養口腔粘膜移植

【独自治療】培養ヒト角膜内皮細胞移植と培養口腔粘膜移植

先生は新しい治療の開発にも携わっていらっしゃいますが、きっかけや当時のお考えを教えてください。

巡り合わせのようなものだったといえます。私が研修医だった2002年のことです。動物試験で安全性と有効性が確認された後、ヒトに初めて投与する段階の治験を「First-in-human(FIH)」と呼ぶのですが、培養口腔粘膜移植のFIHを施す患者さんが、専攻医として担当した最初の患者さんだったんです。FIHを間近で見て『このようなことをしているのか。このような世界があるのか』と感じたことが、今もまだ残っています。

ただ、驚くとともに、当たり前だとも当時は思っていました。いま臨床で行っていることが、当時は研究として行われていたのですが、眼科に入って最初の年に初めて担当した患者さんが、その治療の治験参加者だった。臨床として保険診療に今はなっていて、道のりは簡単ではなかったものの、私の中では当たり前だった…途中から加わったわけではなく、流れの中に最初からいた。だから、流れに身を任せていった先で、巡り合っただけなわけです。


福岡先生が開発に携わられた、京都府立医科大学発の治療について、詳しく伺いたいです。

「培養ヒト角膜内皮細胞移植」や「培養口腔粘膜移植」ですね。日本発の治療で、海外ではまだ受けられません。治療法について、患者さんに向けてお話しましょう。


培養ヒト角膜内皮細胞移植

角膜の裏側には「角膜内皮細胞」という細胞の層があります。角膜の透明性を保つ重要な役割を担うものです。角膜内皮細胞は、一度減ると、増殖や再生をしません。手術やさまざまな病気で角膜内皮細胞は減ってしまうのですが、ある程度減ると角膜が濁って視力が低下する病気(水疱性角膜症など)になります。

従来は角膜移植しか治療方法がなかったのですが、ドナーから提供された角膜内皮細胞を体外で培養し、それを患者さんの目の中に注射で入れるという治療が可能になりました。これが「培養ヒト角膜内皮細胞移植」です。高価ではあるものの、従来の角膜移植に比べて体への侵襲が少ないのが特長です。


[参考情報]


培養口腔粘膜移植

もう一つの「培養口腔粘膜移植」は、「スティーブンス・ジョンソン症候群」などの、両目の表面に起こる病気に対する再生医療です。両眼の白目が癒着してなくなっていたり、黒目が化学外傷を受けたように混濁してしまったりする病気です。その代替治療として、口の中の粘膜を切り取って体外で羊膜の上で培養し、シート状上にして目に貼り付ける手術が「培養口腔粘膜移植」です。

上の二つは、いずれも京都府立医科大学で生まれて保険診療になっています。日本国内であれば、全国の対応医療機関で受けられる環境も整っています。

[参考情報]


【事例】シンガポールやチリから来日した患者も

【事例】シンガポールやチリから来日した患者も

海外から実際に来られた患者さんの事例があれば伺いたいのです。

培養ヒト角膜内皮細胞移植を受けにシンガポールから今年来られた方はインパクトが強かったですね。まだ若い方で、両目とも痛いと、半泣きになりながら、予約なしで外来に来られたのです。「明日でもいいから手術してほしい」といわれました。

培養ヒト角膜内皮細胞移植の治療は年中行っているわけではないのですが、なんとか手術できたらと思いましたね。手術は無事に終わり、経過も順調で、最初は3か月おきの来院が必要だったのですが、今後は半年に1回になる予定です。医療をしっかり提供できてよかったなと、ホッとする出来事でした。

知識や行動力があるのも印象的でした。文献を読んで、海外からここに辿り着く能力もすごいと思います。ほかにも、地球の裏側にあるチリから28時間ぐらいかけて来られた方もいましたね。


先生自身や京都府立医科大学としては、情報発信をされていたのでしょうか。

情報発信はしていませんでした。連絡がくるとしたら、論文と、ホームページに載っている簡単なメールアドレスだけを頼りしていたようです。「培養ヒト角膜内皮細胞移植」や「培養口腔粘膜移植」に関して、まったくといっていいほど発信はしていないので、情報もありません。ビジョンフォース社に発信してもらえばすごいインパクトがあるはずだと、楽しみにしています。


京都府立医科大学附属病院

京都府京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465

※京阪鴨東線「神宮丸太町駅」から徒歩10分・「出町柳駅」から徒歩15分、JR京都駅中央口「京都駅前」・阪急京都線「京都河原町駅」・京阪本線「三条駅」・地下鉄東西線「三条京阪駅」からバスあり(「府立医大病院前」下車)

診療時間:受付 8:45〜11:00・再診受付(自動再来受付機にて) 8:00~11:00まで(休診日:土日祝日、年末年始[12月29日~1月3日])

 
 
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